二度の石油ショックによって素材型産業が水面下に沈むと、代わって省エネルギー型産業である精密機械、エレクトロニクス、自動車などの加工型産業が急速に浮上してきた。一例をあげると、北海道、岩手県、長崎県などは高度成長期には鉄鋼、造船、石油などの好況とともに好調を維持したが、石油ショックでこれら産業が振わなくなると不況下に沈んだ。
このため、新しい産業の誘致や育成を考えているが、今までのところ成功していない。しかし最近になって、経済状況に大きな変化が生じている。
「世界の工場」である中国の高成長が続いている結果、日本の鉄鋼、海運、非鉄金属、あるいは産業機械などに対する需要が高い伸びとなり、これらの産業が再び活況を呈し、これらの産業が立地している地域が浮上している。

明示されていないが、東京都、神奈川県、大阪府などの大都市圏の所得は上昇している。これらの大都市圏は大企業の本社の所在地であり、また高付加価値のサービス産業である金融業、情報産業などが立地しているためだ。
愛知県、滋賀県、三重県、栃木県などの所得が高いのは、これらの地域には好調な自動車産業、あるいは事務用機器、エレクトロニクス関連産業が立地していることが大きい。特に愛知県は好調なトヨタに加えて、最近では二○○五年に中部国際空港(セントレア)が完成、また愛知万博が開催されて、需要が大いに盛り上がって所得が上昇している。
所得が下位の県はこうした好調な産業の立地が少なく、建設業に頼る傾向が強かったのに加えて、近年の公共事業の大幅な減少が不況に追い打ちをかけている。九○年代半ばまでは公共事業は不況地域である北海道、東北、四国、九州などに集中的に実施されることが多かった。
構造改革によって、これらの政策的配慮が失われたから、大都市圏と地方圏との所得格差が拡大傾向を見せることになった。これに加えて、八○年代には急速な円高の進行があって、競争力維持のために日本の製造業は中国、東南アジアなどへこぞって進出した。
この結果、特に地方工場の立地する地域に対して「産業の空洞化」と言われるような現象が生じた。これによって、電子産業、精密機械などが立地していた東北、九州、中部などでは、所得と人口の減少が生じている。
日本の一人当たり県民所得は先に見たように豊かな地域と貧しい地域では二倍以上の違いがあり、中央政府は地方交付税交付金や補助金を用い、あるいは公共事業などを使ってこれら地域間の所得格差を是正しようとしているものの、現実には近年になるほど格差が縮小するのではなく、むしろ拡大する傾向を見せている。

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